2018-5月ご挨拶・書籍「精子提供」を読んで。旦那さんの苦悩

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket
  • LINEで送る

2018年5月のご挨拶


5月になり、新緑が目に染みる季節になりました。今年の5月は平年よりも少し暖かいようです。つい最近初夏の様な暑い日があり、今年初めて半袖のシャツを着ました。半袖シャツは涼しくて気持ちがいいですね。来月の6月初旬には梅雨入りしてしまうので5月中に散歩や屋外での活動を今のうちにしておきたいなと思っています。

私の仕事は繁忙期を終えると反動でガクッと仕事量が減るので今の時期は時間に余裕があります。なので趣味でもある読書を再開してみました。

今回読んだのは「精子提供」歌代幸子(女性フリージャーナリスト)著という本です。著者は自身の妊娠をきっかけに新聞で「精子提供」という言葉に興味を持ち始めます。読む前の先入観では精子提供で生まれた子どもの事が書いてあるのかなと思っていたのですが、意外にも精子提供を希望されるご夫婦の苦悩と葛藤が書かれており、とても参考になりました。まとめ・引用と感想を含めてお伝えしたいなと思います。書籍「精子提供」は、これから精子提供を受ける人にはぜひおすすめです。

「精子提供」歌代幸子著(2012/07)を読んで。

書籍「精子提供」表紙

精子提供による出産・非配偶者間人工授精(AID=Artificial-Imagines-Donor)の歴史まとめ

世界初の精子提供(AID:非配偶者間人工授精)による出産

世界初のAIDによる出産は1909年、アメリカのアディソン・ハードによる報告書が初の事例だと言われています。その報告書によると1884年に無精子症の夫婦に学生の精子を用いて行われました。しかし医師による独断で行われ、妻には伝えることなく、夫のみ伝えられたと言います。夫は妻に伝えることを拒んだと言います。生まれた子供はそのことを生涯知らされずに過ごしました。

日本初の精子提供(AID:非配偶者間人工授精)による出産

日本初のAIDによる出産は1949年8月下旬慶大医学部産婦人科部長、安藤画一博士により女児が誕生しました。当時、AIDが必要とされた背景には戦時中に男性が出征先にてマラリアの高熱などにより男性不妊となるケースが多くあったようです。

今よりも一般的だった精子提供(AID:非配偶者間人工授精)による出産

なぜ昔のほうが精子提供による出産が一般的だったかと言うと、体外受精が存在していないからでした。日本初の精子提供による出産が1949年、日本初の体外受精成功が1983年、そこから体外受精が普及し日本産科婦人科学会が体外受精出産を集計し始めたのが1989年。

体外受精が普及するまで男性不妊治療が人工授精止まりであったことが今よりも精子提供による出産が多い原因でした。体外受精などの生殖医療が発達した現代でも年間約1314組の夫婦がAIDを受け、年間約130名の子供が生まれている。(日本産科婦人科学会報告データ1998~2009年)

精子提供を受ける旦那さんの苦悩と葛藤(引用と感想)

「精子提供」歌代幸子著 引用:停留睾丸(腹腔に睾丸が停留してしまう病気)により睾丸を摘出した高見さん夫婦、旦那さんより。

「自分としては(このまま俺なんかと一緒にいていいの?)と考えてしまう。子供を作ることもできない夫では、男として負けたようなもの。俺以外の夫であれば、妻は自然に子どもを産むこともできるだろう。でも、俺といるばかりにそんな治療をしなければならないことが申し訳なく、それで本当にいいのかと・・」「もう後がないんだ。」

旦那さんの何もしてあげられない無力感・苦悩と葛藤が伺えます。本当に奥さんを愛しているからこその苦悩。男性不妊の夫婦には離婚にいたるケースもあると言います。

本当に旦那さんは精子提供を希望しているのだろうか。

人類の歴史はチンパンジーと種が枝分かれした700万年前に始まると言われています。700万年前から現在まで女性と違い直接出産をしない男性は、ずっと我が子である確証は得られず確信だけでした。これが男性には母性が生まれない理由とされています。

直接子供を産む女性には母性が生まれ他人の子供を育てるのは想像できますが、母性のない男性が他人の子供を育てることができるのだろうか。本当に旦那さんは精子提供を希望しているのだろうか。これが私が、精子提供を受ける旦那さんへの疑問でした。しかし、本を読み進めていくうちにその答えが見つかります。

「精子提供」歌代幸子著 引用:停留睾丸(腹腔に睾丸が停留してしまう病気)により睾丸を摘出した高見さん夫婦、旦那さんより。

「俺にはなにもできないけれど、妻には子供を産むことが出来る。女に生まれたからには一度は体験させてやりたい。夫婦の遺伝子を片方だけでも伝えるためにはそれしかない。そうでなければ自分も子どもを育てていくうえで愛情を注ぐことはできないんじゃないかと思ったんです。」

「私は妻を愛している。だから妻の遺伝子を継ぐ子供も妻と同じように愛して育てることが出来る。」と言うことではないでしょうか。今の時代、子供を授かることをあえて選択しないご夫婦も沢山いるなか奥様に子供を産ませてあげたいという愛情。旦那さんは博愛の精神・寛大な心をお持ちなのだと理解することが出来ました。

この後、高見さん夫婦がどうなったのか気になりますよね。いくら子供も愛することが出来るとは言っても本当のところは・・。それに答えるように著者がお子様が生まれた2年後に再びご夫婦を訪ねています。

精子提供(AID:非配偶者間人工授精)による出産後、高見さん夫婦・旦那さん

「息子のよだれが口に入っても、まるで気にならない。父親として今しかできないこともあるから、子どもが甘えたり、期待していることはなるべく汲み取ってあげたいと思うんです。それが親子の信頼感につながるはずだから」

とても胸が暖かくなるような言葉ですよね。精子提供者としても、とても安心できます。

精子提供(AID:非配偶者間人工授精)による出産を検討しているご夫婦向け情報交換サイト

「精子提供」歌代幸子著では、精子提供による出産を検討されているご夫婦のための情報交換サイトが紹介されています。

参考文献:「精子提供」歌代幸子著(2012/07)・日本産科婦人科学会報告データ(1998~2009年)

「青い鳥」ご挨拶・プロフィール・お問合せはこちら

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket
  • LINEで送る