2018-6月のご挨拶・書籍「精子提供」を読んで。子どもへの告知

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2018-6月のご挨拶

6月になりました。6月になり午後6時を過ぎてもまだ外は明るく季節の移り変わりを感じています。もう東京も先日梅雨入りしました。梅雨になると洗濯物や天気を気にしたりちょっと煩わしいですね。梅雨となるとたまに私は屋外での仕事があるのであまり好きではない季節です・・。

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書籍「精子提供」を読んで。子どもへの告知

書籍「精子提供」表紙

先月に続き、書籍「精子提供」を読んでいます。精子提供者としてはただ提供するだけなのですが、精子提供を受ける側としてはそれまでの経緯や人生ドラマがあることがわかりました。今回は「子どもへの告知」について、まとめ概要・引用と感想をお伝えしたいと思います。「子どもへの告知」とは、精子提供によって生まれたということを親が子供に伝えることです。

書籍「精子提供」では著者が精子提供を受けたご夫婦や生まれてきた子どもにとても詳しくインタビューをしてここではお伝えできないことが沢山書かれています。精子提供を受けるにあたり心配事や不安を抱えている人はぜひ読んでみてはいかがでしょうか。

精子提供(AID:非配偶者間人工授精)による出産を「伝えない親」と「知りたい子ども」

伝えない親・夫婦

2001年慶応大・産婦人科調査によると精子提供で子供を出産した夫婦に「子どもへの告知」に対して、夫・妻ともに「絶対に話さない方がいい」という回答が70%以上。

親が「告知」しない理由

「家族を守っている男性が本当の父親だと思う」「話さないことが親の義務だと思う」「遺伝的な父親でない事が分かると家族関係が悪くなる」などがあった。「将来、子どもに精子提供による出産の事実を伝えようと思っているか」という問いに対して夫・妻ともに80%以上が「伝えない」と答えていた。

告知を考えていない夫・父親がとても多い

1999年慶応大産婦人科・精子提供(AID:非配偶者間人工授精)による出産により父親になった男性不妊患者へのアンケート調査では「将来、子どもに告知することを積極的に考えている」と答えたのは146人中わずか1%に過ぎなかった。
精子提供を受けた夫婦のうち、夫に限るとほとんどの人が「告知」を考えていないことになる。

精子提供による出産には肯定的な夫・父親

2人目を希望すると回答した夫・父親は80%に及ぶ。つまり夫は「告知」に対しては否定的であるが、精子提供による出産に対しては肯定的な考えであることがわかる。

知りたい子ども

2007年8月末、大阪社会福祉会館で「大阪子どもネットワーク」が開かれた。精子提供で生まれた子どもたち当事者が集まり※「子どもの出自について知る権利」の必要性についてアンケートを取ると93人中73人、約80%が賛成。
精子提供で生まれた子ども達がこれほどにまで苦しんでいることが分かった。

※「子どもの出自について知る権利」=「自分がどのようにして生まれたのか」そして「自分の遺伝的ルーツはどこにあるのか」を知る権利のこと。

「告知」しなくても子どもは気づいている?

精子提供で生まれたアメリカのコードレイさんは、同じく精子提供で生まれた10~60代の人を対象に意識調査をした。親が精子提供で出産したことを隠していても「何か秘密にされていることがある」「父親と血がつながっていないのではないか」と感じたことがある人が半数近くもいた。

大人になって「告知」された子どもたちの声

Kさん男性:告知時29歳「よくも29年間も親に騙されていたよな。全然気づかなかったなんて、あまりにバカだったなと思いました。あきれて笑うしかなかったんです。」

Sさん女性:告知時32歳「子どもの頃には親に守られて幸せだった記憶がある。どんな辛いことがあってもそこへ戻れば安心できたのに、すべて嘘の上に成り立っていたことで大切な記憶も空白になってしまう。”私が失くしたもの帰してよ”と思ってしまうのです。」

Tさん女性:告知時31歳「ただ、父親と血がつながっていないことだけは”ああ、やっぱりな”と思えたんです。何ひとつ似ていないのは感じていましたから。そこだけは腑に落ちたけれど、あとは全部嘘だったのかと。目の前にある現実がすべて崩れ落ちるような気がしたのです。」

まとめと感想:「告知」しても精子提供者に会うことができない苦悩・もどかしさ。

この本を読んでいくと精子提供による出産を子どもに告知しない親が多いことがわかりました。病院が用意した精子を利用した場合、現在日本の法律では提供者についての情報・身元を知ることはできません。

子どもに精子提供による出産を「告知」しても提供者についての情報を知ることもできないし、会うこともできない。その様な解決されない問題や苦悩、もどかしい思いをするならば子どもに「告知」しないほうが良いのではないかという親の心境も伺えました。

大人になって子どもに「告知」した場合、親への怒り・不信感・信頼関係に問題が起きることが多いと感じました。大人になると自分の考え・物事への価値観をしっかりと持ち始めます。大人になってから告知をすると20代前半に獲得されるという※「アイデンティティ」の崩壊が起きると考えられます。つまり、親の存在が子どものアイデンティティの構築に大きく関与していると言えるのではないでしょうか。
※「アイデンティティ」とは、「自己確立」「自分固有の生き方や価値観の獲得」の事を言う。(アメリカ精神分析学者E・H・エリクソン)

追記:子どもへの参考告知方法

上記の様なアイデンティティの崩壊を防ぐには、幼少期から「告知」するという方法があります。

ドイツ人男性と結婚した由美子さん夫婦

4歳の長男がお風呂上りに自分の睾丸を指さして、「これなあに?」と聞いてきたことがある。由美子さんはその中に精子が入っていて、精子がないと子どもができないことを教えた。「お父さんにはそれがなかったから、親切な男の人から精子を頂いて君が生まれたんだよ。」と話すと、彼は「ふーん」と答えるだけだった。「子どもがどうやって生まれてきたかということは、家族にとって核となる事実。そこを隠してしまったら家族の信頼関係も築けないと思うんですね。

参考文献:「精子提供」歌代幸子著(2012/07)

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