コラム「卵子と精子の相性ってあるの?」

精子提供をしていて依頼者さんからたまに聞くのが、「相性ってあるみたいで」という言葉です。つまり卵子と精子の相性によって妊娠しやすい、妊娠しない、妊娠しにくいことがあるのではないか?ということです。

男性と女性の免疫が似ていると妊娠しにくい、妊娠しないことがある

子どもを作ろうとする男性と女性の免疫が似ていると妊娠しにくい、妊娠しないという研究がある。原因不明の不妊夫婦のうち、各種検査で男女ともに問題がない30組のうち、あと1歩のところで妊娠しない化学流産(極早期流産)が認めらる7組の夫婦、男女の免疫を調べたところ7組すべてに、※免疫の一致が認められた。これは妊娠できる夫婦よりも有意義に高いものであった。(※免疫の一致とは、白血球の型のことでHLAという。この場合、男女のHLAの型のA、B、C、DRのうち3つ以上が一致していた。)

男性と女性の免疫が異なると子どもの免疫に多様性が生まれる

日本は島国のため海外に比べて免疫の一致が起こりやすいと言われている。免疫である白血球の血液型(HLA)は両親から半分ずつ受け継ぐ。病気や感染症はみんなが平等にかかるわけでなく個人差や地域差がある。例えば日本人とアフリカ人ではHLAが大きく異なる。その地域の細菌やウイルスが異なるためだ。HLAは細菌やウイルスに対抗するための情報を免疫に伝えている。HLAが異なる両親から生まれた子どもには免疫に多様性が生まれて病気や感染症に強い子どもが生まれる可能性がある。

乳幼児において免疫はとても重要である

医療のない約2万年前の縄文時代には平均寿命が20歳前後とされている。 特に乳幼児は獲得免疫を得る過程であるため感染症にかかりやすく死亡率も高い。現在においても5歳未満の乳幼児の死因の2/3が感染症(肺炎・敗血症・破傷風・下痢・麻疹・マラリア・エイズ・百日咳・髄膜炎)によるものである。よって自分とは免疫のことなる異性を選んでHLA・免疫に多様性がある、免疫の強い子どもを産むことは死活問題であったと考えられる。

私たちは本能的に免疫の異なる、異性を選んでいる

私たちは本能的に免疫の異なる、異性を選んでいるという研究がある。アメリカで一般社会と隔絶し生活をしているキリスト教集団がある。彼らは同じ集団でしか結婚が許されていない。約400人から始まり現在は4万人まで増えて近親婚も問題視されている。彼ら夫婦の免疫(HLA)はかなり一致しているだろうと予想されたが意外にも低いものであった。どのようにして免疫の異なる、異性を選んでいるかは青い鳥の過去記事を参照してもらいたい。参考:女性は匂いで男を選ぶ

原因不明の不妊には精子を変えてみるのも選択肢

長年の不妊には男性・女性ともに体力的にも精神的にも辛いものがあります。男性と女性の免疫の一致は卵子と精子の相性と言えるのかもしれません。卵子を取り換えてみるというのは容易ではありませんが精子を変えてみるというのは簡単なことです。女性が高齢になり子どもを産めなくなってしまう前に試してみてはいかがでしょうか。

参考文献: なぜその人に惹かれるのか?(森川友義)・だから男と女はすれ違う(ダイヤモンド社)・興奮するニオイ食欲をそそるニオイ(技術評論社)・とっても気になる血液の科学(技術評論社)・免疫とアレルギーの本(日刊工業新聞社)・匂いの記憶(光文社) ・生殖現象におけるHLA抗原性の検討(高濱一宏)・ HLAと免疫(https://keystone-lab.com/feature/0011/0011.html )・ 小児感染・免疫疾患の発症におけるヒト (http://www.jspid.jp/journal/full/02501/025010041.pdf )