精子提供によって遺伝性疾患が拡散した事例

精子提供の依頼者さんとの面会・面談で青い鳥の健康状態、親族の病歴、遺伝性疾患に関する質問はまったくありません。青い鳥の友人や知人に椎間板ヘルニア、てんかん、統合失調症の人がいますが、やはり両親がその病気を持っていて遺伝かもしれないという話を聞きます。病気は遺伝しなくても病気にかかりやすい体質は遺伝するのかもしれません。

デンマークで起きた、精子提供によって遺伝性疾患拡散事例

デンマーク コペンハーゲン denmark  copenhagen
デンマーク首都コペンハーゲンの街並み

北欧の国、デンマーク。国連が2019年に発表した世界幸福度ランキングでも2位にランキングした。健康寿命の高さ、社会的支援の多さ、政府に対しての信頼度などが評価された。

そんなデンマークにも精子バンクが存在する。かつてラルフという精子提供者がいた。三輪車にまたがる写真を掲載していたラルフは人気があったという。精子バンクを介してラルフからは40人の子どもが生まれた。しかしラルフには遺伝性疾患があり多く子どもたちへ拡散された。当時デンマークでは精子提供者1人の子ども25人という基準はあったが法的な規制がないため緩いものであった。この遺伝性疾患拡散を受けてあわててデンマーク政府は精子提供者1人から生まれる子どもの人数を大幅に減らすように法律を改正した。

ラルフが保有していた遺伝性疾患は「神経線維腫症Ⅰ型」というもので顔面奇形、全身を覆う腫瘍、学習障害、失明、てんかん、などの症状がある。ラルフの場合、遺伝性疾患を保有しながらも偶然に症状は浅いものであったため本人も気づかず拡散されてしまったのである。遺伝性疾患は保有者のすべてが発症するわけでない。遺伝性疾患には遺伝法則がありラルフの場合メンデル法則であった。つまり遺伝確率は約50%となる。2人にひとりは確実に遺伝したことになる。

ラルフのものと思える実際のニュース AFP通信:遺伝性疾患の男性が精子ドナーに、子ども5人に遺伝 デンマーク

参考書籍:「遺伝子は変えられる。」シャロン・モレアム著(ダイヤモンド社2017年04月発行 )

日本での精子提供による遺伝性疾患拡散事例

「精子提供」歌代幸子著によると日本国内でも遺伝性疾患拡散らしきものが確認できる。Aさんは某大学病院で非配偶者間人工授精(AID)で生まれた子どもである。しかし40歳になると急に胸が締め付けられることが多くなり病院で検査を受けた。すると遺伝性狭心症であると告げられる。母方には狭心症の症状が出る者はいなく父方になる。つまり、某大学での非配偶者間人工授精が原因となる。非配偶者間人工授精の際に遺伝性疾患の恐れはないと医師から説明を受けただけにそのショックは大きいという。日本では精子提供者1人の子ども10人までと決められているので遺伝性疾患の事例はあっても大きく拡散されることはない。

参考書籍:「精子提供」歌代幸子著(2012/07発行)

遺伝性疾患は遺伝子検査ではわからない。

典型的な遺伝性疾患であっても遺伝子検査で判明するのは約70%ほど。数千近く確認されている遺伝性疾患を遺伝子検査で判明させることはできない。自分には症状がなくても精子提供者・精子ドナーには遺伝性疾患の恐れが少なからずある。

近親婚だけではない精子提供者1人あたりの子ども人数制限の理由

精子提供者1人の子どもを5~10人までとする理由は近親婚の恐れだけでなく遺伝性疾患拡散の恐れがあるということが分かる。
デンマーク政府や日本産婦人科学会では精子提供者1人あたり子ども5~10人までとするのが適切であるとされている。

advance:悪者だけではない遺伝性疾患

赤血球に寄生した熱帯熱マラリア原虫(輪状体)
出典:wikipediaより

赤道付近には鎌状赤血球性貧血という遺伝性疾患保有者が多い。鎌状赤血球性貧血は赤血球が変形しているがためにマラリアに感染すると重症になりにくいという利点がある。このためこの遺伝性疾患は自然淘汰されず残っているという。