~人間は遺伝子の乗り物である~書籍「利己的な遺伝子」を読んで。

今回は青い鳥が精子提供を始めるきっかけにもなった書籍「利己的な遺伝子」イギリスの生物学者リチャード・ドーキンス著をちょっと紹介したいなと思います。

リチャード・ドーキンス氏wikipediaより

みなさんは「人間とは何か」という問いに答えることができるでしょうか。そんな難しいことわからないよ!という人もいるかもしれません。しかし、一生懸命働いて稼いだお金の使い方や、限られた時間の使い方、幸福の選択であったりと何らかのかたちで答えを出しているのではないでしょうか。現代社会は情報化社会と言われ今までは新聞やテレビから受けるだけだった情報からネットを介して個人が情報を発信するようになり、人それぞれ様々な生き方が認められる時代となりました。

「人間とは何か」と言う問いに対して文学や哲学、道徳や宗教、経営者や偉人たちが書いた自伝や自己啓発本など様々な答えを用意してくれていますが、何か腑に落ちないなと思ったことはないでしょうか。このように人間の視点から 「人間とは何か」 と問うのではなくて、遺伝子を中心とした視点から人間を含め「生物とは何か」という問うべきなのだよという本になります。ドーキンス氏は科学者、無神論者であり文学や哲学、道徳や宗教という要素を完全に排除しています。他にも「神は妄想である」「盲目の時計職人」などの面白そうな書籍を出しています。完全に理系の本です。

遺伝子の視点から人間を見ると「人間は遺伝子の乗り物にすぎない」

ドーキンス氏は 「人間とは何か」 という問いに対して、「人間は遺伝子の乗り物である」と言い切ります。人間は遺伝子が存在するためのただの使い捨ての乗り物にすぎない、本質は遺伝子にあると言います。 そもそも地球で生命が誕生したことにも触れ、まず遺伝子が存在して外部からの化学的な衝撃を受けることから守るための壁として生物の身体が生まれたという。 私たちの身体の寿命は80年くらいであるのに対して遺伝子の寿命は地球に生物が誕生して以来の約36億年間生存し続けている。「遺伝情報を複製・拡散するために生きる」という遺伝子を中心とした考えは生物学を基礎としているので最小の生物である細菌やウイルス、最大の生物であるクジラやアフリカゾウまですべての生物に共通すると言います。

遺伝子が生存するための「生存機械」と「生存戦略」

本書の中でドーキンス氏は人間という言葉は使わず他の生物を区別せずに遺伝子が生存するための「生存機械」と呼んでいる。その生存機械が遺伝子を生存させるために効果的な行為や行動を「生存戦略」、この地球上を遺伝子が漂う「遺伝子プール」と呼ぶ。私たちにあてはめると人間は「生存機械」で、人生は「生存戦略」、この世は「遺伝子プール」と言ったところでしょうか。

ドーキンス氏は少なからず人間という言葉も使い「人間は自分の遺伝情報を複製・拡散するために生きる」と述べる。例えば、一人の女性と結婚をして子どもを作るという人生を選んだ男性がいるとする、しかし一人の女性と結婚をして子どもを作りながらも「浮気」をするという人生を選んだ男性がいかに生存戦略に優れているかがわかるだろう、だから浮気は無くならないと無慈悲に言います。このように私たち生存機械は遺伝子に操られていることが多くあることがわかります。

そんな生物の種類の数だけある「生存機械」と「生存戦略」を数学の応用分野である「ゲーム理論」を駆使し説明している。ゲーム理論というのは「囚人のジレンマ」が初歩的な例としてあげられ、発展させた分野では海外との外交交渉でも使われているという。例えば好戦的でタカのような生物と非好戦的なハトのような生物をゲーム理論で数式化してコンピューターの中でシュミレーションしどちらの生存戦略が優れているかを検証させたりしています。

他にもカマキリのメスはなぜ交尾の途中にオスを捕食するのか?や、「なぜライオンはライオン狩りをしないのか」という問いを道徳や倫理を交えずに解説してくれています。このあたりは「なぜ人間は人間を殺してはいけないのか?」という回答を示唆しているようで面白いところです。

書籍「利己的な遺伝子」を読んでみた感想

私たち人間が、「人間とは何か」「幸福とは何か」と問うのではなく、私たち生物は何に幸福を感じるような構造やプログラムに作られていなければ、この地球上に存在することができないか?という生物学的な問いが大切なことを本書は投げかけてくれます。

現代は人類の人口が急激に増加しました、これは人間が生存しやすい環境・時代になったと言えます。しかしチンパンジーと共通祖先が枝分かれした約700万年前から始まる人類の歴史は飢餓や病気との戦いでした。縄文時代には平均年齢が20歳前後と言われ生存することがいかに難しく厳しいことであったかがわかります。

これから精子提供を受けて自分の遺伝子を複製したいという方にはおすすめしたい書籍です。理系の書籍であり難解で何度も読むことを挫折してどうにか読み終えた青い鳥ですが・・読んでみたいという方がいましたら、この本をお譲りします。